| 受験戦争 |
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受験とは。 己の幸福を目的に、全国の同世代どもを より多く蹴落としたものが栄光を得るという、 戦国時代もびっくりの大規模戦争です。 偏差値などで敵や己を知る諜報活動、試験問題にヤマを張る戦略、 志望校のランクを一段階下げる軍略、 受験当日に「あなたのシャーペン、ちゃんと芯入ってます?」とささやく知略。 どれをとっても戦争そのものです。 ・・・そんな受験戦争の荒波に 真っ向から立ち向かい、 並居る敵をバッサバッサと切り倒して 戦場を颯爽と駆け抜け なかったのが私です。 思う存分「チキン野郎!」とでも呼ぶがいいと思います。 ---------- |
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・ 大学受験 ・・・私は推薦での受験を決意する。 一般入試まで受験のストレスに耐えられそうにないからだ。 更に詳しくいうと、早く受験を終わらせて くったくない笑顔を取り戻したいからである。 推薦枠を取るのは容易だった。授業中は一生懸命ノートにペンを走らせているのだから、 そんな真面目な生徒の推薦枠に異論のある先生などいなかったことだろう。 普通入試を避ける理由はもう1つある。 得意教科の“物理”と“化学”が潰しあってしまうことと、 理系なのに英語が必要なこと。 推薦を狙うのは、大学によって英語が不必要な場合があるからだ。 成績は“物理”が常に学年1位と優秀そうに見えるが、 クラスに一人はいる それ以外できない生徒の典型で、 英語に至ってはカードゲームの英語が主な点数源だったために アブノーマルな単語と記号問題のみでテストを受けるアホであった。 |
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そんな私が推薦入試において困ったことが一つ。それが・・・ 面 接 ッ ! 面接中に挙動不審でなにも喋れないのは当然のことなので置いておくとして、 困るのは「あなたのアピールポイント」などの質問である。 「見つからねぇーッ!」 そんなものがあればクリスマスイブにRPGのレベル上げなどはしていないので、 そんな非人道的な質問はされないものと思うが、 “趣味”や“特技”を尋ねられても困ってしまうのは いささか考えものだ。 いっそ「その件について私の口からは申し上げられません」くらい強気がいいかもしれない。 それくらい言うことがないと、面接でする話はやはり文化祭ネタに絞られる。 |
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・ 文化祭 私はパソコン部の副部長を務めており、これは内申的になかなか良好だ。 コンピュータ室での雑談やカードゲーム、絵を描くといった活動が主だが、 部長の5藤が持ってくるMADムービーの鑑賞など、パソコンもバッチリ活用している。 そんな中、文化祭のだしものとしてゲームの公開が決定する。 私はスーパーファミコンのRPGツクールなら競馬ゲームを作るほどに熟知していたが、 (イベント容量を競馬だけで使い切ったため 肝心の本編が作れなかったクソゲー) 文化祭のだしものにRPGというのは悲しいほど滑稽なので全く役に立たず、 部長の5藤が 誰でも気軽に楽しめる“アクションゲーム”を作ることになる。 雑誌の付録にアクションゲーム製作ソフトがあり、それを使ってひたすら作る。 最初は5藤だけが真剣に作っていたが、時間が経つにつれ一人、二人と集まっていき、 ゲームには次々とアイデアが盛り込まれていった。 そしてゲームは完成を迎える。 完成したといいながらも念入りにテストプレイを重ねる部員たち。 バグが見つけたかったわけじゃない。頑張って作ったゲームがやりたかったのだ。 |
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文化祭は大成功だった。瞬く間に口コミで広がり、友達が友達を連れてくる。 一台のパソコンのまわりに人だかりができ 全員が食い入るように画面を見る。 「低カロリーの雪国ま○たけ、体においしい雪国・・・」 MADムービーかよ! これのインパクトがあまりに強すぎて 人がなだれ込んできたのだ。 ことの発端は 友人に「これおもしろいよ」と見せたことから始まったのだが、 まさかここまで膨らんでいくとは誰も思わない。 そしてこのMADムービーは意外な大役を果たした。 来場した人達がちゃんとゲームにも関心を示すのである。 しかも大笑いして“つかみ”を得ているので、誰もが楽しんでくれるのだ。 こうして文化祭は文字通り 大 成 功 に終わった。 ・ 面接 さて、この文化祭話を面接でするつもりなのだが、 私はどうしても面接が得意ではなかった・・・。 |
| 面接官 |
「あなたはパソコン部の副部長だったんですか?」 |
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まきら |
「はい、そうですっ!」 ←事実 |
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面接官 |
「文化祭でゲームを作ったそうですね」 |
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まきら |
「はい、そうですっ!」 ←作ったのは部長 |
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面接官 |
「それはパソコンでプログラムしたんですか?」 |
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まきら |
「はい、そうですっ!」 ←ツクール風のソフト使用 |
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面接官 |
「そのプログラミング言・・・」 |
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まきら |
「大好評でした!!」 |
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面接官 |
「・・・。」 ←声が重なって止まっている |
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まきら |
「・・・。」 ←しまった!と思っている |
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面接官 |
「はい、では次に・・・」 |
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こうして面接は幕を閉じた。 緊張のあまり思わず「はい」と答えてしまったのか 悪魔に魂を売っていたのか、今となっては知るものはいないが、 答えられないプログラミング言語を問わせなかったのは大きいだろう。 |
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・ 合格発表 そして合格発表の日。 この大学はコンピュータを扱う工業大学なだけに 普通高校より工業高校からくる生徒のほうが圧倒的に多い。 しかし、普通高校の生徒も 数学を詳しく習っている点で魅力がある。 そんななか私は“普通高校理数コースの特進クラスで数Vまで習っているうえに プログラムでゲームを作った生徒”である。 正直、大学にとってはまさに完璧超人の人材なのだ。 完璧超人は落ちた。 第2志望の学科にかろうじて合格していたが、 プログラムでゲームを作る人間が第1志望に落ちたのである。 面接官の質問を遮ったことが減点対象になった可能性はあれど、 このゲーム話がなかったら・・・もしかして第2志望さえ・・・?? ---------- |
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・ その後 ひとまず結果がでて、次はセンター試験と普通入試です。 当然、第1志望を受け直すわけですが・・・ 授業中、激しくペンを走らせる私の姿。 帰り道にマジックショップに立ち寄る私の姿。 そう、妥協しました。 それからの私は、普通入試をする人達の応援に従事します。 先に試験が終わった立場なので、その応援が時には神経に障ることもあったでしょうが 申し訳ありません。・・・ あれは応援です。 受験戦争・・・ 人生を大きく分ける、非常なる戦いの物語。 |
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